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福島市における競馬の歴史は古く、神社への奉納競馬に端を発し、100年を越える伝統があります。福島市は全国に名立たる馬の産地であったことから、馬の改良を促すために競べ馬が行なわれて来たのです。また絵馬のいわれからもうかがわれるように、神社と馬は深い関わりがあります。現在でも福島競馬開催前には、人馬の無事故と競馬開催中の安全を祈願して馬場浄めの神事が欠かさず行われています。
さて、福島市の総鎮守、陰陽師安倍晴明により創建された一千年を越える歴史を持つ福島稲荷神社には全国でも珍しい「競馬勝守り」があり、競馬ファンの必携として全国的にも大変人気があります。
この全国でも珍しい「競馬勝守り」が誕生したのは、平成9年、福島競馬場のスタンド、馬場の全面改装工事が行われ、装いを一新した時のことでした。福島市は伝統的に競馬が盛んでJRA日本中央競馬会直轄の競馬場があり、福島で仕事をする営業マンは、競馬を知らないと仕事にならないともいわれる土地柄です。しかし一方では競馬といえばギャンブル、賭け事といったイメージが根強くあることも事実です。しかし見違える変貌を遂げた施設を目の当たりにするにつけ、また昨今の女性の競馬ファン急増とも相まって、今や競馬をマイナスイメージだけでとらえる時代は終わったと感じたものです。福島にとってこの立派な福島競馬場は財産であり、このまちは競馬とともに共存してきたまちなのです。地域の人々に愛着と誇りを与えるこの競馬場に魂を吹き込むのはあとは神様のお力をお借りすることでした。競馬ファンなら一目で分かる名馬の誉れも高いトーカイテイオー、ナリタブライアン、ビワハヤヒデの三頭を選び、コンピューターグラフィックスを駆使してこれら歴代名馬の勇姿と最新のスタンドのデザインを西陣織で再現し、その御守りをカード型のケースに封入し、更に馬券を収納できる透明ポケットをつけたこの競馬勝守りは、細部にまでこだわりをもたせた御守りとして世に出たのです。競馬勝守りは、地域に根差した御守り、この土地ならではの御守りとして、口コミからじわじわと広がり、更にマスコミが取り上げるにいたって今や福島競馬のおみやげには欠かせぬものとなりました。その後、日本中央競馬会とのコラボレーションにより、馬単、三連複馬券の新規発売に合わせて2作目、更に三連単馬券の発売に合わせて3作目の競馬勝守りが世に出ました。(現在は5種類)
福島だけにしかないお守り、創作御守りが広く話題になることは、すなわち神様のご存在と御利益を人々に意識して頂くことであり、そのことにより、地元の人々には地域への誇りと愛着を深めてもらい、更には福島を訪れる多くの競馬ファンや観光客には、福島の歴史と良さを認識していただくこととなりました。この小さな御守りは福島の親善大使としての大きな働きを担っているのです。